ナイトメアがやってくる!

『 ??????? 』
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BGM:「仄かに煌く光」 (3rd サントラ2・18)





















「こんにちわ。お嬢さん……。」
 






 力の全てを使い果たした私は、その声によって目をます。
 自らが作り出した虚構きょこうの闇世界へと沈み、自意識の境界が曖昧あいまいになりつつあるその時、声が届いた。

 聞いた事のない女性の声。
 母でもなく妹でもない、エステルさんやレン、カリンさんでもない, 見知らぬ誰か。

 だけどそれはとても優しく、包み込んでくれるかのような暖かさを持っていた……。




 私はもう朽ち果てたというのに、なぜそんな声が聞こえるのだろう?
 これが、死せる魂の行き場からのいざないなのだろうか?












「フルーレさん……でしたね。ひとつだけ、教えてください。」













「貴方は…………本当は彼女の…、レンさんの笑顔を見たいのですよね?」






 レンの笑顔。それは……いまは亡き妹に似ていたから、自分が見たかったから、望んでいたもの。
 でもそれは、私には無理だった。私では彼女に笑顔を取り戻す事はできなかったのだ。


 それに私には……見届ける権利なんてない。だって私は、笑顔がみたいという自分の願いのために勝手にレンに優しくしていた。そして勝手に彼女達を試していた。



 それで笑顔を見たいだなんて……。あまりにも…身勝手すぎるじゃないか。







 私はひどく我侭わがままな人間なのだから、これ以上、何かを望むべきではないと……思う。





「……そう自分を卑下ひげするものではありませんよ? 貴方が行った事は貴方自身の優しさからのものです。もしそれが本当にあなたの身勝手から来るものだというのなら、その想いは、彼女の元へ届かなかったはずでしょう?」


「私には、貴方が家族を失った事、お父様とお母様、そして妹さんを亡くされた事の悲しみを、安易にわかると言い放つ事はできません。……その悲しみはきっと、貴方にしかわからない。」



「でもね、これだけはわかるんです。……きっと、貴方がいなくなったら悲しむ人がいますよ?」







「 ───それに、貴方のお父様、お母様だって、……貴方に生きていて欲しいから助けようとしてくれたのではないですか?」














「貴方が生きていて欲しいと願っていた人がいるのと同じように、……今、貴方に生きて欲しいと願っている人がいる。それを忘れないでください。」






















 もし、貴方がほんの少しでも生きていたいと願うのなら、
 私は残った全ての力を使い、貴方を救いましょう。


 それが私が持つ……本来の力なのですから。











 だからお願いです。手を伸ばしてください───────

















 不思議な声……。
 やはり聞いたことのない声だった。

 だけど、その声を聞くとなぜか安心できて、心配もなくて、心の底から、素直な言葉を出せるような気がした。



 本当の私は……どうしたいのだろう?





 きっと私は──────






『 手を伸ばす………… 』